2010年6月3日木曜日

第1回ワークショップ「古書に見る包み結び」

6月1日 代々木上原 「うつわや」にて

6月・7月・9月、月1回の3回シリーズで、結びと包みについて
お話させていただくことになり、うつわやさんとご縁のある方々、
8名が集まってくださいました。

第1回目は江戸時代の武家故実家、伊勢貞丈の「包結記」の本
から「結び」と「包み」のおはなし。
「包結記」は1764年に「包みの記」をまとめ、のちに「結びの記」と
ともに「包結図説」と呼ばれるようになりました。室町時代から代々
武家の礼法故実に精しい伊勢家に受け継がれてきたものです。

「知識だけではなく、先人たちの事柄に対処する際の知恵。
そういったものを伝授していく気概を示してくれている」と
額田巌先生が書いておられるように、「秘伝」を出版に踏み
切った貞丈の思いが、言葉の端々に感じられます。


復刻版「包結記」



この本には約50種類ほどの結びが紹介され、その名前は、草木・虫・
魚貝・男女名などが大部分をしめ、自然の生命力に対するあこがれを
感じさせられます。

また吉と凶に対する使用上の分類、地位や階級による使用上の
規約など、儀礼的にも高度な世界を十分に伝えています。

花結びという王朝時代の優雅な結びについては「用のない結び」
としながらも、捨てることは簡単だか、役に立つこともあり、こういう
ものも伝えていかなければならない、とあります。

この書にある結びを結んでみました。




講座の中ほど、うつわやさんが選んでくださったおいしいお菓子と
お茶で一休み。お懐紙を吉の折りにして、さっそく用意して頂いた
干菓子をその上に。日本の紙や折りの「用」と「美」と「心」が
何百年経った今も受けがれていることが不思議にも思えます。

作家さんの器に囲まれ、お花がさりげなく飾られたお店でのひと時
は心地よく、「心を豊かにする会」を開きたいといううつわやさんの
思いが伝わります。

折形デザイン研究所では基礎から応用まで様々な美しい折り・包み・
水引の結びを教えていただきました。
デザイナーで構成される折形デザイン研究所の方々の目を通して
日本の伝統的な儀礼文化に触れたことで、私の結びの世界は広がり
ました。

「むすび」をどう伝えていきたいのか、改めて問われるよい機会に
恵まれ、結びが「包む・たたむ」とともに大切な文化であることを
確信し、今後もこのような活動を地道に続けたいと考えています。

7月は「祭りの中の結び」をテーマに、祇園祭をとりあげ、結びに
まつわるお話と、小さな結びの小物作りに挑戦します。

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