2013年5月25日土曜日

訶梨勒(かりろく)の結び

銀座和光での築城則子さんの染織展は連日盛況で、
トークショウには120名の方がいらっしゃいました。
皆さんと一緒に会場を歩きながらお話を聞くという、
楽しいひと時でした。

訶梨勒は窓辺に立てられた7本の柱に掛けて頂きました。

訶梨勒の写真












今回の訶梨勒は、折りと結びでお香の包みを作りました。
この包みのデザインは折形デザイン研究所のものです。

半紙で折る 折形歳時記」(平凡社)の中に「貝を包む」というテーマで
貝殻を原料とした胡粉が片面に塗布された半紙を使ったひし形の繊細な
包みが載っています。今回の包みはこのバリエーションです。
(折形デザイン研究所に使用の許可を頂きました)


片身替りの生地で折った包み











訶梨勒は慶事の床の席に飾られる香袋で、室町幕府八代将軍、
足利義政に仕えた同朋衆が記した「御飾り書」に「訶梨勒とて
柱飾りなり」とあり、古くは邪気を祓う具でした。

香席は香りを聞き分ける場所ですから、香りの強い生花を飾ること
は避け、様々な道具を使って季節感を演出します。
その一つに結びかあります。

志野流の志野袋には12か月の花の結びがあります。
訶梨勒の実を象った香袋には5色の紐が優雅に垂れ下がっているものや、
結びを施したものがあり、匂い袋には何かしら結びが施されます。







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この絵の結びは、訶梨勒の結びとして有名なもので
あわび結びを基本にしています。

香木はとても貴重なものでしたので、大切に扱われました。
悪月といわれる5月のお節供に掛けられた薬玉は、9月9日の重陽の節供に
茱萸袋と取り替えるまで飾られていたそうです。

小倉織の新しい訶梨勒には、慶事に使われるあわび結びと
護符としての役目を持つ総角結び(あげまき)を基本にした結びで
ゆったりと紐が垂れるようにデザインしました。

再生された小倉織のように、再生への思いをしっかりもって制作をつづけたい
と思います。