染織家 築城則子 × 建築家 白川直行によるインスタレ
ーションを見にミラノに行きました。今回のイタリア旅行は
人生においても特別な経験となり、思わぬ出会いに恵まれ
たとても幸せな旅となりました。
ミラノ大学 小倉織の展示 |
その生地を正方形に裁ち、折ったもの約1400個を使って
制作したシャンデリア。
シャンデリアの中央にちょこんとついているのは、この包み
を使った訶梨勒(かりろく)です。結びは六方緒締め。
築城さんからこのシャンデリアに結びのついた訶梨勒をつ
けたいのだけど、とご連絡いただき急遽制作しました。
2014年和光での「築城則子染織展」において、この訶梨勒
を10点制作しました。
その訶梨勒と同じ折りが今回のモチーフとなり、嬉しいことに
またあの時の訶梨勒がミラノでお披露目されました。
夜になってライトアップ!
階段上から ミラノ大学の校舎は素敵でした |
ほとんどの方が気づかないと思いますが、ここに結びをつ
けて下さって私の中では「包み」に「結び」がついたという意
味で、日本らしさがまさに慎ましく表現されているようで、
階段上からの眺めがとても気に入りました。
多くの方が訪れました |
ミラノ大学エントランスすぐの回廊 |
縞は無限の世界を表します。
築城さんの小倉織は昔のものより糸を細くして経糸の数を
増やしたもの。2300本と聞いています。
なめらかな感触と、繊細なグラデーション。
室町時代に確立した武家礼法である折形を研究し、
今に活かす方法を探求してる折形デザイン研究所がオリ
ジナルの包みとしてデザインした「貝包み」。
デザイナーの方々による折形のデザインはその精神性に
価値をおき、デザインは極力シンプルに、機能的に折られ
ています。本当に美しいです。
そして、その二つを融合して、素晴らしい空間を生み出し
た建築家の白川さん。
白川さんの徹底したこだわりはため息がでるほど。
縞の特性とその美しさが3つのオブジェで表現されました
が、その広がりの中に厳粛な場の空気も流れ、一つ一つ
見入ってしまう作品でした。
見違えるほど変容した伝統の世界にしっかり残っているの
は形ではなく残すべきものと変えたいもの、その線引きを
どこへ持っていくかというとても難しい問いへの現時点で
の答のように思えます。
結びは何を残し何を変えていけばいいのか。
小倉織、縞縞、折形。
このご縁にはいつも大きな学びの場を頂いてきましたが、
今現在も進行形でいられることを大変幸せに思います。